久しぶりにジャーナリストでテレビにも沢山出演している池上彰さんの本を読みました。

- 作者: 池上彰
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
- 発売日: 2016/04/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この本は池上さんが東京工業大学で教授として働いていた際、学生への抗議の中で気づいたことや最近の政治・経済についての事情について本にまとめたものです。政治や経済についてあまり詳しくない人でも事例を交えながら解説してくれているので分かり易いです。
印象に残った箇所
「目標の2~3メートル先」を目指せ
池上さんは本の中で以前NHKのニュース番組「ニュースウオッチ9」に出演していた大越健介キャスターが高校時代に監督から教わったことを紹介しています。
平凡な内野ゴロを打っちしまったとき。それでもうまくすれば内野安打になるかもしれないし、相手野手がお手玉をするかもしれません。コンマ1秒でも早くベースに到達するためにはどうすればいいか。そこで口を酸っぱくして言われたのが、ベースの2~3メート先をベースと思え、という言葉です。ベースそのものを目標にすると直前でスピードが落ちてしまうし、気持ちが勝ってヘッド・スライディングをするのも得策ではないと教わりました。
ベースがその先にあると心得ることで、スピードを落とすことなく本物のベースを駆け抜けることができるというわけです。
これは何事にもあてはめることができることでしょう。
学生なら期末試験で90点を目標にしたとしたら、本来は100点を目指した方が良いのに90点丁度で目標達成だしそれに合わせた勉強時間でいいやとなります。社会時ではある期日までに仕事を終わらせてくださいと言われた場合、その日までに終わらせればいいやという気持ちになるため、結局締切日のギリギリになってしまいます。
富士山登頂だけを目標にするのではなく、その先にあるエベレストを意識して進んでいくような心構えが普段から大事なんですね。
不都合な真実から目を背けるな
本の中では安倍首相の戦後70年談話についてとそれに応じて、旧西ドイツのワイツゼッカー大統領の演説の一部が書かれています。
「今日の人口の大部分は、あの当時子どもだったか、まだ生まれてもいませんでした。この人たちは自らが手を下してはいけない行為について、自らの罪を告白することはできません。(中略)しかしながら先人は、彼らに容易ならざる遺産を残したのであります。
罪の有無、老幼いずれを問わず、われわれ全員が過去を引き受けなければなりません。だれもが過去からの帰結に関わり合っており、過去に対する責任を負わされております」
「問題は過去を克服することではありません。さようなことができるわけではありません。後になって過去を変えたり、起こらなかったことにするわけにはまいりません。しかし過去に目を閉ざす者は、結局のところ現在にも盲目になります。」
生きていると人は誰でも過ちを犯します。
犯罪を犯して警察に捕まった、仕事でミスをし周りに迷惑をかけた、家庭を顧みずに仕事ばかりして家族を悲しませた。人間は過ちの宝庫です。誰だって自分が罪を犯した時に、あの時にああしていれば結果は違ったかもしれない、忘れたい過去だと思うかもしれません。
でも、そういう過去の犯した過ちに目を閉じると結局現在にも盲目になってしまい過去に犯した過ちをまた同じように起こすかもしれない。なのでしっかりと現在に目を向けて、過去を受け入れることが大事だということなんですね。